オオグソクムシの特徴と飼育方法

○オオグソクムシの特徴

・深海約100m〜650mに生息している。

・体長約9cm〜12cm。最大で20cm近くになるといわれている。

・ダンゴムシと同じ等脚類。等脚類としては日本最大。ちなみに等脚類の世界最大の種は、メキシコ近海の深海にすむダイオウグソクムシ。体長50cm近くになり、体重は5kgを超える。鳥羽水族館のダイオウグソクムシは、5年以上何も食べずに生きていたことが話題となった。

・ほとんど動かず、次のエサが来るまで、じっと待っている。エサが次にいつ来るかわからないので、エネルギーの消費を抑えるためといわれている。

・オスとメスは、腹部の特徴から区別できる。

・泳ぐときは、腹部のエラを使って、背泳ぎで泳ぐ。

・危険を感じると、ダンゴムシほど完全ではないが、丸くなって防御の姿勢をとる。

・味は、エビやカニに似ており、唐揚げにすると美味ということである。オオグソクムシの乾燥粉末を混ぜ込んだせんべいが、沼津市の名物になっている。

・入手方法は、駿河湾で捕獲された食用兼飼育用のものが良い。ネット販売での価格は1匹500円〜800円程度。クール宅急便で送られてくる。

 ペットショップから入手することもできるが、同じものがネット販売で1匹3000円〜6000円と、とても高価なものとなっている。

 

○オオグソクムシの飼育方法

☆飼育する上で留意すること

・深海生物なので、真水での飼育は不可能。海水が必要。

・水質の悪化には極めて強いので、ろ過装置は貧弱でもかまわない。

・高水温に弱く、20℃以上になると狂ったように泳いだ末、突然死することがある。

・光に弱く、蛍光灯の光でも長時間浴び続けると弱ってしまう。また光によって目の組織が破壊され、目が白濁することがある。

 

☆飼育方法

・飼育容器は、プラケースなどでも可能。あまり過密でなければ複数飼育も可能。

・海水は、ホームセンターなどで販売している人口海水の元を使用すると良い。

・水替えを時々行えば、エアーポンプのみでも飼育可能。

・低温に強いため、ヒーターは必要ない。しかし、0℃近くなるとほとんど動かなくなる。飼育の適温は7〜15℃といわれているので、冬に活動している様子を観察したい場合は、ヒーターで15℃を保つと良い。

・反対に高温には弱いため、真夏は15℃以下に保つことが必要。水槽用クーラーがあれば良いが、とても高価であるので、飼育ケースごと冷蔵庫に入れておくのが良い。野菜庫は10℃程度に保たれているのでちょうど良い。エアーレーションは必要だが、光は必要ではなく、真っ暗でもかまわない。

・飼育容器は、なるべく暗い場所におくと良い。明るい場所におく場合は、覆いをして光を遮るようにする。

・エサは、食べ残しの刺身・ベーコンなど何でも良い。1〜2週間に一度与えるだけでよい。エサを与えると、匂いでわかるようで、エサを探し回って、上手につかみ、すばやく食べる。エサが足りないと、共食いをしてしまうといわれている。
 刺身は大好物だが、生臭くなって水替えが必要となる。ベーコンやハムが水を汚さずおすすめ。

・危険を感じると、口から消化していない褐色の内容物を吐き出すことがある。放っておくと、死んでしまうことがあるので、半分以上の水換えを行う。

・鋭い歯を持っているので、噛まれないよう注意する。

・繁殖については、竹島水族館など、何例か報告されてういるが、捕獲したメスがたまたま卵を抱えていたというもので、水槽内で交尾・産卵まで至った例は報告されていない。また、水族館で生まれた子は、みな短命に終わっており、長期飼育の方法はまだ確立されていない。

 

○オオグソクムシの学校で飼育する価値

・今、水族館を中心に、「きもかわいい」と深海生物のブームが起こっている。また、ダイオウグソクムシにも人気が集まっている。その仲間が、学校で見られることは、子どもたちの自然に対する興味や関心を高めることが期待できる。

・オオグソクムシは、体形・足の数・歩くときの動作など、ダンゴムシを巨大化させたような生き物である。エサを食べるときの様子なども、ダンゴムシと似ているだろう。オオグソクムシの観察は虫眼鏡などを使わずにできるので、その様子からダンゴムシの行動などを推察することができるだろう。

・オオグソクムシは、安価で購入できる上、海水魚飼育の経験がない人でも、簡単に飼育できるメリットがある。